1950年代における高度経済成長は,大量生産・大量消費の時代をもたらし,高校・大学への進学熱を高めるとともに,女性の社会進出を促すうえで大きな推進力となりました。言わば,
仕事中心の「男性社会」から, 女性を含めた「男女共生社会」への台頭期と言えましょう。しかし,当時はまだ,
「男は仕事!女は家庭!」という社会意識が根強く残っており,雇用の面では,女性に対する社会の受け入れは十分ではありませんでした。それが,
1985年, 「男女雇用機会均等法」が施行されるにいたって,女性も,男性と同等に働く場を確保されるようになり,その点で大きな転換期を迎えました。さらに,1999年4月からは,「女子保護規定」の撤廃とともに「改正男女雇用機会均等法」が施行され,
続いて「男女共同社会参画基本法」も施行されて,いっそうの改善がなされ,男女が共に責任を分かちあい,性別
にかかわりなく社会参画するという形が定着しつつあります。 高校教育においても, 「家庭科」が1994年 4月からは男女共修になり,家族・家庭の経営も,調理・被服製作の手法も含めてすべての学習項目を, 男女共に分け隔てなく履修することになりました。国際化・情報化の時代を迎え, たえず変化する現代社会にあって,高校生の皆さんにとっては, 何を価値あるものとして考え,身につけていけばよいのか,常に求められることと思います。だからこそ,「男女の平等と相互協力」とか,「男女共同参画社会の実現」などについて,正面 から取り組み, 考えていくことが必要なのではないでしょうか。高校時代という青年期のまっただなかで,「自分を見つめ,自分らしく生きる」ことは,これからの生涯を豊かなもの,充実したものにしていくうえで, とても大事なことです。 2003年4月から始まる高校の新しい教育課程のもとで,できるだけ多くの生徒さんたちが「自分らしいライフスタイル」を身につけ,「自分らしく生きる」うえで手助けできるよう,「家庭科」教科書の編纂に取り組んでいます。 (編集部 「家庭」担当 某著)
|