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ルーツに遡る
 何かを感じる、心に響くもの・・・感性が合っていれば何でもOK――それがY.Matsumoto氏の音楽観です。普通なら興味を持ったアーティストやジャンル内で横へ広がったり、新しいものへと前進していくものですが、Y.Matsumoto氏の場合は「どうして?」「なぜ?」「もっと詳しく知りたい!」といった好奇心が頭をもたげていき、いつも辿り着く所はアフリカ音楽となってしまうとか。つまり、心惹かれた音楽を聴いているうちに…湧きあがった好奇心を突き詰めていくうちに、どんどんアフリカ音楽というルーツへと遡ってしまうのです。  

蓄音機
 現在、D社には一台の蓄音機が置いてあります。1943年製イギリスビクター『HMV(ヒズ・マスターズ・ボイス)163』。この機種で聞くアルゼンチンタンゴは最高に音がよいことで有名で、当時のイギリス人は好んでこの機種で聴いていたそうです。
 蓄音機から出てくる音は高・低音域とも限られており、はっきり言って音はよいとは言えません。音(音質)だけなら現代のAV機器の方がはるかによく、雲泥の差です。
 しかし音楽を楽しむ上での音づくり・音楽性(=音楽の心)の高さという点では、むしろ蓄音機の方が音楽的であり、その心が強く伝わってくるとY.Matsumoto氏は感じています。それはSP盤に録音した音楽家のレベルの高さかも知れませんし、その技術に携った人たちの音楽に対する考え方が反映されているからかも知れません。
 反面、現代のCD などの、音としては完成されたスキのない高レベルのデジタル化された音楽には目を見張るものがあります。しかし音楽的であるかという点に関しては、Y.Matsumoto氏は大変疑問に思っています。音楽の心という意味では、デジタル化までの発展の過程で何か道を大きく踏み誤ったとしか思えず、残念でならないそうです。
 Y.Matsumoto氏があえて蓄音機を社内に置いているのは、社員にもそれを分かってほしいという思いがあるからです。また、次の世代に伝えていく本を出している教育出版社の姿勢として、技術改革・大量生産が何をもたらしたのか、もう一度客観的な目で見つめ直し、考え直してほしいという願いもあるのです。

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