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香道は、香を聴いて“有職故実”の中に遊ぶ芸道。“有職故実”とは儀礼や宮中の礼法の、昔からあるきまりごとのことです。Y.Matsumoto氏が日常生活ではまず知ることのできない宮中の礼儀・作法に興味を持つきっかけとなったのがこの香道だそうです。

きまりごとを書いた数々の書は、国会図書館の蔵書からコピー。

香道にゆかりの深い「源氏物語」も参考にされています。

[香炉・天龍寺青磁(民窯式)*
古美術展で購入された品。柄は“卦(ケ)*”を表わしたものですが、民窯で焼かれたものらしく、本来途切れるべき場所(線)が切れていなかったり、作りの粗さが目立ちます。しかし、Y.Matsumoto氏によると、色も濃く出ており天龍寺青磁の中でもかなり良い方に属するものだとのこと(作られた年代によって色の濃さが違うそうです)。足の部分が少し欠けているため、意外と安く手に入れることができたそうですが、完全な形なら相当な貴重品のはず!!少々難はあれど、実は大変気に入っている香炉の一つなのです。
*天龍寺青磁・・・・ 京都・天龍寺は中国との貿易によって建立され、当時の輸入品であるこの手の青磁が数多く残されていたことに由来します。元時代から明時代にかけて中国の龍泉窯で作られた青磁で、釉色がやや沈んだ暗緑色のものを指します。
*民窯式・・・・・・ 天龍寺青磁には「官窯式」と「民窯式」があり、前者は宮廷用に焼かれ、宮廷で使用されたものを指します。ここに紹介した青磁の香炉は、それを参考に民間で製作された「民窯式」のもの。
*卦・・・・・・・・ 古代中国の陰陽説に基づく。この香炉では天・沢・火・雷・風・水・山・地の「八卦」を、陰と陽の2つの太極を図化したもので表現しています。