利休の茶の湯『おもてなしの心』。客と亭主の間で交わされる、一期一会の空間を味わい、共に時間を過ごす――Y.Matsumoto氏は、やはりそれこそが神髄だと思っています。
根底にあるべき本来の茶の心を忘れ、「お点前の順序を間違えた」「作法がなっていない(知っていない)」など、これ見よがしに所かまわず指摘するベテランの方もおられます。また、メディアの取材では、カメラマンがお点前している最中に飾り畳に入ろうとして、お道具が危うく踏み潰されそうになった事もあったと聞きます。
こんな『おもてなしの心』を無視したような人々は、どこか心の有り様・配慮に抜け落ちたものがあるとしか思えない、とY.Matsumoto氏は言います。そんな人々の行動・姿を見るたびに苛立ちを覚え、時に怒りを押さえられない事も少なくなかったそうです。しかしNHK連続ドラマ小説『あすか』のお茶会のあるワンシーンを見て、色々と思い直すことがあり、以後改めるようになったとか(しかしそれは『おもてなしの心』に反するような言動を認めたというわけではありません)。茶道とは、お手前する人間とお客様としての人間の心と心の対話。またそのような『心』を共有できる方々と共に、時間を過ごしたい。Y.Matsumoto氏はそう考えているのです。 |